サン・ポーロ教会の鐘楼の根元を歩いていると、ライオンが人の首をつかんでいる像が目線の高さにあり、あまりにも気味が悪いので調べてみるとなんと漫画ARIAの灯里ちゃんの「あの御方」に繋がるではありませんか!
サン・マルコ寺院のテラスの手すりの小広場側の角に、サン・マルコ湾に向けて首を乗せられている「その御方」は、(2つの説があるのですが、有力なのは)カルマニョーラ伯爵と呼ばれる方で、15世紀にヴェネツィアと敵対していたミラノと関係の深いトリノ出身の軍人です。ヴェネツィア共和国に取り入り、大運河沿いの宮殿を贈られるほどの戦果を上げ英雄視されましたが、後にミラノのヴィスコンティ大公と共謀しヴェネツィアを裏切ったという反逆罪に問われ、小広場で斬首されました。カルマニョーラ伯爵の家紋にはミラノ公国のシンボルと同じ大蛇が含まれていたそうです。サン・ポーロ教会鐘楼のライオンは二対あり、片方が生首をつかみ、もう片方は大蛇と戦っているのはこの逸話になぞられたものだということです。
ところで、最近の研究ではテラスの手すりの首はもっとずっと古い時代の、ビザンチン皇帝ユスティニアヌ1世だそうで、道理でビザンティンっぽいなーと思っていたので納得がいきました。カルマニョーラ伯爵は処刑後に冤罪ではないかと噂されたので、いつの頃からか伝説化されビザンティン時代の像の首を載せてシンボルにしたのではないかということです。19世紀に Alessandro Manzoni によって、冤罪(結局、冤罪ではなかったらしい)の悲劇として戯曲にもなりました。
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by aobluebleu
| 2019-03-31 08:17